性格心理学 - 心理学における性格の話 –

性格心理学 - 心理学における性格の話 –

私たちは自分の性格と一生、向き合っていかなければなりません。もし、嫌な性格の人がいたとしたら、その人と距離を置けばいいわけですが、自分自身と距離を置くというのは非常に難しく、性格を変えたい・性格を直したい、と思う人も多いのではないでしょうか。では、そもそも性格とはどのようなもので、変えた方がよい性格とそうでない性格とは何が違うのでしょうか。

目次

  1. パーソナリティ心理学 – 性格に関する心理学 –
  2. 自分の性格を「正確」に知る方法
  3. 性格の病気 – パーソナリティ障害とは? –
  4. 変えるべき性格・変えなくても良い性格
  5. 性格はどうやったら変わる? – カウンセリングの役割としての性格変容 –
  6. まとめ

【1】パーソナリティ心理学 – 性格に関する心理学 –:

特に性格に関する研究をする分野をパーソナリティ心理学とよびます。パーソナリティ心理学の基礎として、まず単に“性格”と言わずに、3つに細かな区分を設けています。

 気質:いわゆる体質の“こころ”バージョンで、感情面に関する特徴のことです。たとえば「彼はカッとなり易い質(たち)で」というのは、その人の気質としての怒りっぽさという特徴を示していると言えます。しかし、あくまで「質(たち)」なので、怒りっぽい人が「怒るようなシチュエーション」で100%必ず怒るかというと、そういうわけではありません。

 性格:生まれつき備わっている部分を指します。どのような状況や場面であっても、ある程度の一貫性が保たれるものです。たとえば「几帳面な性格」ということであれば、いつでも常にメモ用紙を持参して、小まめにメモを取るという行動が認められることがあります。これは、いつでも、どんな状況でも実行されるという意味で、一貫性のある「性格」に該当すると考えられます。

 人格:どちらかというと後天的に身に着いた部分を指します。人格は“役割”という言葉
に置き換えることができます。たとえば、家庭では父親としての役割を担い、職場では部長としての役割を担うなどが該当します。人格は英語で「Personality」となりますが、その語源となる“ペルソナ”は元々「仮面」という意味であり、場面・場面で着け外しができるというニュアンスが含まれています。

 このように、一言で“性格”と言っても、気質・性格・人格というように微妙にニュアンスが異なります。ただし、気質・性格・人格の3つはともに、私たちの“こころ”の裏側にあり、後ろで支えてくれている頼もしい存在であると同時に、暴走する原因にもなっているのです。人間の心理とは、何らかの出来事を知覚するところからスタートし、その出来事を認知(例:判断する・考える)し、認知の結果から何らかの感情が生まれ、その結果、何らかの行動が発生するという流れがあります。パーソナリティ(性格)とは、認知・感情・行動の裏側にあるもので、考え方のクセ・怒りっぽい、不安を感じやすいなどの感情に関する傾向・日常生活における行動の傾向などの全ての根本にあるのがパーソナリティ(性格)なのです。そのため「性格を変える」という場合、それは考え方も感情も行動も全てを変えるということを意味しています。

【2】自分の性格を「正確」に知る方法:

自分の性格について知りたいという人は多いのではないでしょうか。その際、ネット上で気軽に回答できるものや、専門書ではない書籍に掲載されている、いわゆる“心理テスト”のようなものは、科学的根拠が希薄なものが多く、正確に自分のパーソナリティ(性格)を理解・把握することはできません。また、性格を把握するための検査は、ただ回答すればよいというものではなく、その回答結果を専門家が採点・解釈することで、初めて意味のあるものになります。そこで、医療機関などでも実施されることの多い、標準化されたパーソナリティ検査について紹介したいと思います。

 (1)Y-G性格検査
 パーソナリティ検査の中では最もポピュラーな部類にあたるのがY-G性格検査です。質問項目数は120項目に回答することで、情緒不安定性・社会適応性・活動性・衝動性・内省性・主導性の6つのパーソナリティ特性について把握することができます。最終的にA型(Average:平均型)、B型(Blacklist:不安定積極型)、C型(Calm:安定消極型)、D型(director:安定積極型)、E型(Eccentric:不安定消極型)の5タイプのいずれかに分類されます。

(2)NEO-PI-R
パーソナリティ検査で、Y-G性格検査と同じくらい有名なのがNEO-PI-Rです、これは人間の性格は5つの因子の程度で説明できるという主要5因子理論(ビッグファイブ)に基づくもので、開放性(O)・誠実性(C)・外向性(E)・調和性(A)・神経症傾向(N)の5つ(頭文字をとってOCEAN(オーシャン))が、それぞれどの程度認められるのかを把握することで、個人のパーソナリティ(性格)を理解することができます。

(3)TCI
 TCIとは、クロニンジャーが提唱した7次元モデルに基づいたパーソナリティ検査です。TCIのT(temperament)は気質、C(character)は性格という意味であり、遺伝的要因が強く生まれつきの部分である新奇性探求・損害回避・報酬依存・固執の4つの特性と、環境的要因が強く後天的に身に着いた部分である自己志向性・協調性・自己超越性の3つの特性の合計7つのパーソナリティ特性について把握することができます。

(4)投影法検査
 Y-G性格検査・NEO-PI-R・TCIはいずれもアンケート形式の質問紙検査です。そのため、無意識的な要素までは把握することができません。そこで、無意識的な部分まで把握するための手法として、投影法検査があります。これは、実のなる木を描く、インクの染みのようなものが描かれた図板を見て何に見えるか答えるなどのように、直接質問に回答するのではない方法で実施されます。

 これらの標準化されたパーソナリティ検査を実施し、その回答結果を専門家が採点・解釈することで、はじめて正確なあなたの「性格」が分かります。これらの検査は専門家ではなければ購入できないという規則があるため、一般の方は残念ながら手に入れることができませんし、自分で実施しすることもできません。もしも、こういったパーソナリティ検査を実施した場合は、科学的な専門性を持ったカウンセラーに実施してもらうことをお勧めします。

【3】性格の病気 – パーソナリティ障害とは? –

 「性格が悪い」や「性格に問題がある」などの表現はよく耳にしますが、その程度には様々なレベルがあります。自分自身が性格のことで常に困っていたり、周囲の人が常に振り回されて被害を受けていたりしなければ、それ自体は大きな問題ではありません。問題があるレベルの性格は、パーソナリティ障害とよばれる精神疾患として治療・支援の対象になっています。パーソナリティ障害は以下の10種類が挙げられます。

  • (1)猜疑性パーソナリティ障害:他人の言動を全て悪意のあるものと解釈し、常に不信感や疑念を感じている。
  • (2)シゾイドパーソナリティ障害:社会性に乏しく、他者とのコミュニケーションが希薄。特に他者との間に何らの感情も発生しない。
  • (3)統合失調型パーソナリティ障害:妄想的な考えが多く、風変わりな行動・発言が多い。他人とのコミュニケーションにおいて、様々な問題を抱えやすい。
  • (4)反社会性パーソナリティ障害:他人の権利や法律、社会的なルールを無視し、よく嘘をつき、衝動的で暴力的な行動が多い。
  • (5)境界性パーソナリティ障害:感情の起伏が激しく、他人を褒めたたえたかと思えば、急にこき下ろしたりするなどの問題を起こす。また、見捨てられ不安が強いため、他人を巻き込んだ身勝手な行動が多く認められる。
  • (6)演技性パーソナリティ障害:派手で他人の注意を過度に引くような、言動・行動が多く、全てが芝居がかって見える。
  • (7)自己愛性パーソナリティ障害:自分は凄い、褒められるべき人間だという強い思い込みがあるが、他人への共感は欠如している。
  • (8)回避性パーソナリティ障害:他人から非難・批判・拒絶されるということに強い恐怖を感じ、他人との接触をとにかく避ける。また、何か新しいことにチャレンジしたりすることを極度に嫌がる。
  • (9)依存性パーソナリティ障害:とにかく何でも他人に面倒を見てもらいたいという気持ちが強く、他人からの助言や保証がなければ何もしようとしない。
  • (10)強迫性パーソナリティ障害:柔軟性がなく、自分の決めたルールを厳密に守ることを重視する。仕事・勉強の効率や他人との関係性を犠牲にしてでも、とにかく秩序や完璧さを求め、融通が全くきかない。

【4】変えるべき性格・変えなくても良い性格:

前述の10種類のパーソナリティ障害の特徴を見ると「自分にも当てはまる」「自分は〇〇パーソナリティ障害かもしれない」などと考えてしまう人もいるかもしれません。ですが、パーソナリティ障害は厳密に診断基準が決められており、診断ができるのも医師のみです。そして、有病率はいずれも10%以下なので、そもそも、1000人に1人程度のものであるということが前提となります。
 「性格を変えたい」と思う方もいるかもしれませんが、変えた方が良い性格というのは、基本的に前述のような医学的診断を受けるレベルのパーソナリティ障害の方のみです。また、パーソナリティ障害全般に共通した診断基準として「パーソナリティに関する問題は相手が誰であれ、どんな場所であれ、当事者が何歳であえ、変わらず認められる」というものがあります。従って、相手次第ではうまくやれる、今の職場では上手く行かないが、前の職場では問題なかった、20代のころは問題なかったが30代から辛いことが増えた、などのような場合、それはパーソナリティ障害とはいえません。また、そういった場合に「変える」べきなのは、自分のちょっとした考え方のクセや職場環境、ライフスタイルの方であり、パーソナリティを変える必要はないことが多いです。

【5】性格はどうやったら変わる? – カウンセリングの役割としての性格変容 –:

それでも「性格を変えたい」と考えている方にお勧めするのがカウンセリングです。性格は薬を飲んで直るものでもありませんし、生活習慣を変えても大きな影響はありません。メンタルへルスの専門家であるカウンセラーと1対1でじっくりと時間をかけて対面でカウンセリングを続けていくことで、性格変容を引き起こすことができます。そもそも、専門家であるカウンセラーしか、正しくパーソナリティ検査を実施・採点・解釈することができませんので、まずは「自分の性格を正しく知る」という段階から、カウンセラーによるサポートが必要となります。そして、検査結果などから判断して、性格変容が必要なのか、それとも別のアプローチが必要なのかを正しく判断してくれるのも専門家であるカウンセラーの役割なのです。
 性格とは、考え方や感情、行動などの全てに関わるものです。そして、他人との関係においても全般的に影響を及ぼすものです。また、もしあなたが30歳なのだとしたら、30年間ずっと付き合い続けてきたものが自分の性格なので、そう簡単に変えることはできません。さらには、何をもって「変わった」と判断するのかも重要な要素です。カウンセラーとともに計画を立てながら少しずつ、認知・感情・行動から変えていき、その変化の程度を数値化していき、日常生活でどのような影響が出てきているかを細かく観察していく必要があります。どのくらいで性格は変えられますか、という質問を受けることがありますが、少なくとも年単位で考えるべきものであるということは断言できます。カウンセラーとの関係を根気よく続け、またカウンセラーに率直な情報開示をしていくことで、少しずつ性格は変化していきます。

【6】まとめ

今回は性格について、心理学的な観点から、パーソナリティ検査やパーソナリティ障害などについても触れながら解説しました。性格を変えることは決して容易なことではありませんが、そもそも、変える必要があるのかどうかをしっかりと検討するべきものなのです。また、性格変容は根気のいる作業ですが、科学者としての視点を持つ心理カウンセラーとのカウンセリングによって、少しずつ変化させていくことができます。

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