オンライン相談って、何?(2) – 相談とは、具体的に何をするのか? –

オンライン相談って、何?(2) – 相談とは、具体的に何をするのか? –

 前回のコラムでは「誰に相談すればいいのか?」という観点から、オンライン以外の手法も含めて解説をしました。今回は、では「相談」というのは実際に何をするのか、という具体的な内容について、専門家が実施する代表的なアプローチを中心に解説していきたいと思います。

目次

  1. 傾聴アプローチ
  2. 精神分析
  3. 認知行動療法
  4. ブリーフセラピー
  5. まとめ

【1】傾聴アプローチ

傾聴とは、しっかりと話に耳を傾けるという意味です。非常に当たり前のように感じるかもしれませんが、これがカウンセリングなどの相談における基本技法となっています。たとえば、家族や友人に相談した場合にも、真摯に悩みに耳を傾け、あなたに寄り添った対応をしてくれることはあるかと思います。ですが、これはあくまで「真面目に聞いてくれている」というレベルであり、専門家が行う傾聴アプローチとは異なります。傾聴は英語でアクティブ・リスニングともよばれ、「積極的に」という要素が強く含まれています。つまり、ただ相談者の話を聞くのではなく、内容を分析・整理整頓し、そこにさらに新たな視点からの解釈の余地を与えるのが傾聴アプローチなのです。また、傾聴アプローチでは、基本的に専門家側は指示やアドバイスをしません。しっかりと話に耳を傾けることに注力し、あくまで相談者本人の口から「語ってもらう」ことをメインとします。これが家族や友人に相談する場合、「私はこう思うけどなぁ」とは「私だったら、こうするかなぁ」という相談された側の意見が出されるものですが、専門家による傾聴では、専門家側が個人的な意見を言うことはほとんどなく、相談者の考えや気持ち、行動を受容する態度を徹底していきます。
 相談者はまだ頭の中にある悩みを整理できておらず、自分自身の考え方の「クセ」で型通りの捉え方しかできない状態であることが多いです。この状態のままでは、同じことをグルグル考えているだけで前に進まず、解決の糸口も見つかりません。専門家が実施する傾聴アプローチは、相談者が話しやすいシチュエーションを作り、積極的に悩みを話していく中で、相談者自身に頭の中を整理整頓させ、それまで意識できていなかった新たな「気づき」を促します。傾聴はカウンセリングにおける基本中の基本であり、まずはここから相談対応がスタートします。傾聴は文字のみのコミュニケーションであるメールやLINEでも実施できるものなので、オンライン相談でも非常に重要なテクニックとなっています。また、自分の悩みや考え、今おかれている状況を文章化することには、頭の中を整理整頓することができるというメリットがあります。相談者自身が頭の中を整理整頓する作業を専門家が傾聴によってサポートするという流れは、ストレス低減・メンタルケアの観点からも非常に有効な手法であるといえます。

【2】精神分析

 精神分析という言葉だけなら一度は聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。フロイトが創始した精神分析は現在でも実施されていますが、カウンセリングやメンタルケアにおけるメインストリームではなくなってきています。これは、精神分析が基本的に過去のトラウマや無意識にアプローチする手法だからです。たとえば、職場の上司との対人関係で悩んでいるとしましょう。今、現在直面しているこの問題をどうしたら解決できるかを知りたいにもかかわらず「あなたが無意識に抑圧している事柄が関係している」とか「幼児期のトラウマが影響している可能性があります」と言われてもピンと来ないのではないでしょうか。また、人間の無意識下に実際に何が抑圧されているのか、そもそも幼児期などの本人も記憶していないような時期に本当にトラウマを発生させるような出来事があったのか、こういった要素には客観的な証拠が乏しいという問題があります。つまり、専門家が精神分析的に「これがあなたの抱える悩みの原因です」と言ったとしても、その原因自体が存在しない可能性があるからです。
 オンライン相談という観点からも、精神分析は適切なアプローチではないといえます。特にメールやLINEでは、無意識やトラウマなどの深層心理へのアプローチは難しいといえるでしょう。

【3】認知行動療法

 現在、日本だけではなく世界中でカウンセリングの主流となっているのが、認知行動療法です。日本でも、唯一、医療保険の対象となっている心理療法が認知行動療法です。悩み相談において、相談者が述べる内容には、当然、相談者の怒りや不安、悲しみ、落ち込みなどの「気持ち」というものが多く含まれます。しかし、この「気持ち」に振り回されてしまっているのが「悩んでいる」という状態であり、気持ち・感情をコントロールすることが、悩みを解決するための一番の近道であるといえます。人間は知覚・認知・感情・行動という心理的なプロセスがあります。身の回りで何かを見たり聞いたりするのが近くであり、これは出来事や体験・経験と言い換えることができます。この知覚された体験・経験を「どう考えるのか、どう捉えるのか」が認知です。そして、自分にとってこの出来事は都合が良いと認知すればポジティブな感情が、都合が悪いと認知すればネガティブな感情が発生します。そして、ポジティブな感情なら「この体験・経験を持続させたい」という方向に行動が発生し、ネガティブな感情なら「こんな嫌な体験・経験はもうしたくない」という方向に行動が発生します。私たちは知覚・認知・感情・行動の一連の流れの中で、どうしても感情の部分をクローズアップしてしまいがちになります。しかし、感情はその1つ前の認知次第でコントロール可能なものです。また、悩みの肝心な部分は「〇〇し過ぎてしまう」とか「△△がどうしてもできない」などの行動へと帰結するものが多いです。つまり、感情に振り回されていること自体が「本質からズレている」ということなのです。認知行動療法では、感情の前の認知の修正で考え方の「クセ」をコントロールし、物事の捉え方自体を変化させます。さらに、心理的プロセスのゴールである行動にもアプローチし、問題となる行動を良い方向に変化させていきます。
 認知行動療法のアプローチはオンライン相談でも活用できるものが多くあります。また、欧米では既に普及しているICBT(インターネット認知行動療法)というオンライン相談を前提とした認知行動療法もあります。さらに、スマホアプリなどとも連動したものなどもサービスが展開されてきているので、認知行動療法はオンラインとの相性が非常に良いと言えるでしょう。

【4】ブリーフセラピー

 ブリーフセラピーの「ブリーフ」とは「短い」という意味です。ブリーフセラピーは、とにかく短期で問題を改善・解決していくということに特化したアプローチです。悩みの原因究明や、どんな感情を抱いているのかは一先ず置いておいて、どうしたら悩みが解決するのかだけを追求していくものであり、解決志向アプローチとよばれるものが中心となっています。前述の傾聴アプローチが「上手な話の聞き方」を中心としたものであったのと異なり、ブリーフセラピーは「上手な質問の仕方」を中心としたものになります。悩みを抱えている人は、「何もかも上手く行かない」とか「どうせ、これから先もダメに決まっている」などのように考えてしまいがちになります。しかし、よくよく考えてみれば「上手くいったケース」や「成功体験」というものがあるはずです。ただ、悩みに意識が集中してしまうと、自分が「出来ていたこと」や「得意なこと」から一時的に注意が外れてしますのです。解決志向アプローチの代表的な手法である「例外探しの質問」は、このような「今、この瞬間に目立っている失敗や悩み」に埋もれてしまっている「上手く行った経験や上手く行く方法」を質問によって明確化させます。過去に上手く行った経験が一度でもあるのであれば、それを分析することで、現在の悩みを解決する糸口にすることができわけです。
 ブリーフセラピーはオンライン相談でも使いやすいアプローチであるといえます。対面による相談と異なり、オンラインには移動や来所という概念がないので、時間が無い人には便利な方法です。ということは、より短時間で悩みを改善・解決することは、そもそも時間が無いという人にフィットするわけです。インターネット上で質問や相談をする人の特徴として、とにかくすぐに返答を欲しがるという傾向があります。もちろん、悩み相談はyahoo知恵袋のように「質問⇒回答」のように1往復で終わるものではありませんが、ブリーフセラピーなら、より短期間でどんどん悩みの解決というゴールに進んでいくことができます。

【5】まとめ

 今回は「そもそも、相談とは具体的に何をするのか?」という観点から解説をしてきました。今回取り上げたのは主にカウンセリングや心理療法におけるアプローチですが、精神疾患ではない方の悩みの改善にも効果的です。ホッとライフにおけるオンライン相談でも、登録カウンセラーは前述のような様々なアプローチを駆使して、あなたの悩みの解決をサポートしていきます。ご興味のある方は、是非、利用してみていただければと思います。また、ホッとライフでは、悩みの種類に応じて相談者が専門家を選ぶことができます。加えて、認知行動療法やブリーフセラピーのように「得意なアプローチ手法」に基づいて専門家を選ぶこともできますので、あなたにマッチした専門家を探してみてはいかがでしょうか。

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